こんにちは。
家族問題解決専門カウンセラーの鈴木悦子です。
何かしらのできごとで他人に裏切られてしまった、というのは胸が痛み、気持ちが沈み込んでしまいますよね。
裏切りが関係性の深い仲であればあるほど、そのダメージは大きいと言えるでしょう。
裏切りがいつしか「他人不信」という“他人を信じることができない”という気持ちへと切り替わってしまい、さらなる深みにハマってしまうことがあります。
それは毒親育ちの人に比較的多く見られる現象であり、幼少期に親から受けた心の傷が裏切りに対して敏感になることから起こる現象なんですね。
この現象は他者だけではなく家族に対しても向けられてしまうものであり、夫や子どもの言動によってそれが引き起こされてしまうことも少なくありません。
生きづらさを助長してしまう「裏切り」「他人不信」というもの。心が軽く生きやすくなるよう、この部分は解決しておきたいですよね。
今回は、生きづらさを助長している裏切りへの不安や他人不信の原因、心のなかで起こっている葛藤を明確にし、活き活きと毎日を過ごしやすくするためのステップについてお話していきますね。
毒親育ちの人はなぜ他者から裏切られることに対して不安が強いのか?
実際に裏切られた経験による心の傷はもちろんですが、それが助長され“裏切られてしまうかも”という思考が強まってしまうのはなぜでしょうか。
その答えの多くは幼少期にあり、親との生活において気持ちを踏みにじられたり痛みを与えられたりして、心から安心できる生活環境ではなかったからと言えるでしょう。
いったい親からどのような痛みを与えられてしまったのか?ここからは根本原因ともなるべき現象をお話していきましょう。
条件付きの愛情による「裏切り」経験
心理学的な用語に「条件付きの愛情」というものがあります。
これは、
・親に対して良い子であったときだけ愛情が与えられる
・親の期待に応えたときだけ愛情が与えられる
・親が望んだ結果を手にしたときだけ愛情が与えられる
といった、なにかの条件が付いたときだけ親からの愛情がもらえる、というものです。
逆にですが、
・親が期待することができない
・親の言ったとおりにしない
・親の機嫌を損ねてしまう
など、親が望むことができないと冷たい態度をされる、無視される、けなされる、という愛情とはかけ離れた行為をされます。
小さな子どもにとって、親の存在は絶対的なもの。
いつでも自分に対して微笑んでほしいし、優しく触れてほしいし、温もりある言葉がほしいのは当たり前のことです。
ですが、毒親は子どものためというよりも自分のためにが優先されるので、自分が望んでいることが叶わないとわかった瞬間、冷たく突き放されてしまいます。
このようなことが子ども時代に続いていくと「他人不信」が芽生えはじめ、愛情から一転して突き放されると、それは「心的な裏切り」として心に刻み込まれていくんですね。
いつしか「人はいつか裏切るものだ」「私には永続的な愛情を受け取る価値がない」という“根強い不信感”が心の土台として形作られていきます。
感情を表現する自由を奪われる
毒親は気分によって子どもの感情を抑圧したりコントロールしたりと、感情の自由を奪おうとすることが多々あります。
たとえばですが、
「そんなことくらい我慢しなさい!」
「みっともないから泣くんじゃない」
「感情的になるのはダメな奴のすることだ」
など、表現したい感情をNGとされ、最終的に自分自身をさらけ出すことができなくなってしまいます。
子どもの頃の体験や経験というのは大人になったいまの自分を形作っているものです。
自分を犠牲にしてまで我慢するクセがあったり、本当は泣きたいのに泣けなかったり、腹が立つのに表現できないなど、思い当れば子どもの頃に感情を表現する自分を奪われていたと言えるでしょう。
感情の自由を奪われた経験は、大人になり家族を持ってもその影響力は変わりません。
「もし夫の前で泣いたり我慢できず投げやりになったら、冷たく突き放されてしまうんじゃ・・・」
こういった裏切りへの恐れが心から寄り添える関係性を阻害しますし、すれ違いが多くなる可能性があるかもしれません。
安全基地の存在が欠如している
本来の親の存在というのは、子どもの存在や感情を条件など一切なく無条件で受け止める、受け入れるべきものです。
その親の存在はまさしく「安全基地」と呼べるものであり、子どものそういった親の安全基地があるので勇気を持って前に進むことができるんですね。
しかし、これが毒親の場合は話が変わり、親の存在は安心できる場所ではなく、プレッシャーや痛みなどを与える、自分が抑え込まれる場所となっています。
そういった安全基地的な感覚を経験していないので、他人はもちろん家族といえども心のどこかで信頼への一歩が踏み出せない、ということが起こります。
ちょっとしたことで警戒してしまったり、なにか言われたことで不安になったり、慢性的にイライラを飲み込んでしまうなど、心から安心することが難しくなってしまいます。
心の中で起こっている葛藤について
毒親育ちであるいうこと、それは様々な葛藤が心のなかで湧き上がり、激しく揺れ動くことは多いものです。
心のなかで起こっていることの言語化は難しい部分がありますので、ここからはどういったことが起こっているのか?葛藤についてお話していきます。
1、愛されたい気持ち vs 裏切られることへの恐怖
「愛されたい、そして信頼したい」という純粋な願いがある一方、「でも、裏切られるのは怖いし傷つきたくない」という防御本能が心のなかで働きます。
この葛藤が行き着くのは、夫の愛情を試すような行動となるんですね。
たとえばですが、夫が仕事のストレスで八つ当たりしてきたときなど。
夫を必要以上に拒絶したり、強く寂しさを訴えたりといった“プッシュ・プル(近づいては離れる)”という行動を繰り返してしまいます。
これは見捨てられ不安という、自分が見捨てられてしまうかもしれない恐怖とも関係があり、見捨てられないとはわかっていても、行動を止めることができない現象です。
この行動をくり返しているとき、またやってしまったと自己嫌悪に陥り、さらに自信を失うという悪循環に陥ってしまいます。
2、理想の妻・母像 vs 抑圧されたネガティブ感情
毒親育ちの多くは「良い妻」「完璧な母」であろうと無意識に努力していることがほとんどです。
これは、毒親の期待に応えようとしてきた幼少期の習慣の延長であり、大人になったいまもこの習慣は変わることはありません。
しかし、もし共働きをしていて家事までほぼ一人で担い、育児にも追われる毎日であれば、イライラや疲労といったネガティブな感情は溜まり続ける一方ですよね。
本音としては掃除をサボりたい、今日はご飯を作りたくない、ということもあるでしょう。
そんな本音を抑え込んでしまい、見捨てられないよう「~べき思考」で自分を追い込んでしまうことが、夫婦仲や子育てのストレスとして一気に爆発する原因となります。
3、他人軸で生きることの苦しさ
毒親育ちの人は毒親の支配下にあったため、どうしても他人軸で生きることが身に着いています。
「夫はどう思うのだろう」
「子どもに嫌われたらどうしよう・・・」
「職場で変に思われていないかな・・・」
など、常に他人の顔色をうかがい優先し、自分の気持ちや体調を後回しにしてしまう・・・
そういった他人軸での生きかたは、裏切り不安、見捨てられ不安の大きな原因と言えるでしょう。
自分が感じる安心感というもの。それが他人の機嫌や評価という、他人軸の土台の上に成り立っているので、この状態では心が苦しくなるのは当然ですよね。
▶ 心理カウンセラー鈴木悦子へのカウンセリング依頼はこちらから
裏切り不安や見捨てられ不安を払拭するために必要なこととは?
裏切り不安、見捨てられ不安といった不安を解消し、活き活きと生きるための鍵はどこにあるのでしょうか。
その答えは、
“自分の心に安心感の土台を築く”ということです。
ここからは安心感の土台を築くうえで重要なポイントをお伝えしていきますね。
不安な感情を書き出して記録していく
「心のなかを書き出す」という行為は目に見えない心のなかを視覚化する働きがあり、対策も立てやすくなります。
なにかしらの不安を感じたとき、それはどういった不安なのか?用意したノートなどに書き出してみましょう。
「夫の八つ当たりで悲しかった。裏切られた気がして怖い」
「なんでこんなに不安になるんだろう」
「子どもに言われたことで胸が痛い」
など、心のあることを思いつくまま書き出して記録していきます。
あなたが感じる様々な不安、それはあくまで幼少期の心の傷からきていて、夫や子どもに毒親を重ねている状態、いわゆる投影というものなんですね。
それをしっかりと認識し、
“湧き上がる様々な不安は幼少期の体験を相手に投影しているものだ”
と意識的に切り離すことが大切です。
このように不安な感情を客観視すること、あくまで投影のしわざだと認識することで振り回されずらくなりますよ。
「裏切られるかも」ではなく「何を恐れているか」に焦点を当てる
あなたが漠然と感じている「裏切られるかも」という気持ち。
その気持ち、思考について掘り下げてみましょう。
「裏切られる」というのは、具体的にどのようなことが裏切りにつながるのでしょうか?
たとえば“見捨てられるのが怖い”のか?それとも“一人になるのが怖い”のか。
裏切りと感じる背景には百人いたら百通りの答えがあり、一概には言えないでしょう。
上記のように、裏切りに対する不安の正体にフォーカスしていくで自然と気持ちはだんだんと落ち着いていきます。
人間は漠然として現象に対して怖さや心配を抱きやすいので、正面からその背景にフォーカスし正体を突き止めていくことが、心を落ち着かせる、切り替えるひとつのコツです。
自分自身が“自分のための安全基地”になる
最初のほうでもお話しましたが、親と言う存在が子どもにとって「安全基地」的なものであれば、子どもは健やかに勇気を持って行動していけます。
しかし、お世辞にも安全基地とは言えない毒親のような存在だと、勇気は閉ざされ自分軸は確立せず、大人になってからさらに苦しみを味わうことになります。
いまのあなたにとってとても大切なことは、身近に安全基地となる存在を置くこと。
そしてそれはあなたのことを熟知している“あなた自信”が適任なんですね。
自分自身を理想の親として、自分のなかのインナーチャイルドに優しく穏やかに語りかけながら傷を癒していく。
そして、家族や他者の言葉ではなく、自分の胸の内にある本音を優先することです。
・疲れていると感じたときは、夕食をスーパーのお惣菜やお弁当にする
・なにかをやりたくないと感じたらそれらを後回しにし、自分時間を優先する
・休日くらいは夫に子どもをまかせ、少しの時間外出し気分転換する
など、心の内側で「本当はこうしたい」という本音が見えたら、それを否定せず実行してみること。
慣れないうちは気後れしたりモヤっとした気分になるかもしれませんが、すべては心を楽にしていくため。
家族や他者の顔色ではなく自分の顔色を伺うようにしましょう。
おわりに
「裏切りへの不安」というのは、あなたが幼い頃、親が安全基地として機能しておらず、寂しい思いをしてきた証拠と言えるものです。
少しだけ言い換えれば、
「もう少し自分を大事にしてあげて」
という、心からのメッセージでもあるんですね。
いきなり不安や心配をなくすことはできませんが、小さな行動を積み重ねていくことが他人軸からの解放につながり、しいては自分自身の変化につながります。
裏切り不安や見捨てられ不安を手放し、ぜひ心穏やかな毎日にしていきましょう。
~毒親問題・家族問題・親子問題の苦しみを軽くして、毎日を笑顔で過ごすために~
各種カウンセリングのご依頼は↓↓↓↓


















コメントを残す