毒親について

 

毒親のタイプと毒親になってしまう原因、心が苦しくなったときの対処法、関係の断ち切りかたについて解説します

 

「毒親」という言葉は一昔前に比べ世間に浸透していますので、聞いたことがあるかもしれませんね。

 

最近ではテレビやネット記事でもよく取り上げられるようになり、関心を持つ方や自分もそうかも・・・と自分を顧みる人も増えているようです。

 

毒親とは、子どもに対して精神的・身体的に悪影響を与える親のことを指しています。

 

たとえばですが、過度に支配的な態度であったり、逆にまったく関心を持たない、いわゆる「無関心」であったり。

 

親としての関わりかた、接しかたがが極端になることで、子どもの心が深く傷ついてしまうことは多いものです。

 

「色々考えてみたらもしかして、うちの親は毒親かも・・・?」

 

そんなふうに過去を振り返ったり、親の言動などを反芻してみると思い当たる節があったら、心がざわついてしまいますよね。

 

さらに、

 

「自分も親になったとき、同じことをしてしまうのでは・・・・」

 

と不安に思ってしまうこともあるでしょう。

 

ですが、安心してください。毒親の特徴やその背景を把握して理解することで、自分の心を守る方法や関係性を再構築するヒント、最終的な手段など、いろいろなものが見えてきます。

 

今回こちらの記事では、

 

・毒親のタイプについて

・なぜ親がそのような態度を取ってしまうのか?

 

を解説していきます。また、もし心が苦しくなってしまったときの対処法や、毒親との関係を見直すための具体的な方法についてもお話していますので。

 

この記事を元に少しでも気持ちが軽くなるきっかけになれば嬉しいです。

 

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毒親のタイプとその特徴

① 支配型の毒親:子どもの人生をコントロールしようとする親

 

支配型の毒親は「あなたのため」と言いながら、子どもの人生をすべて管理しようとします。

 

どんな服を着るか、どんな友達といるか、どの学校に進むか、どの職業を選ぶかまで、細かく指示を出してくるという特徴があります。

 

また、子どもが「自分で決めたい」と言っても「あなたにはまだわからない」「お母さん(お父さん)に任せておけばいい」と取り合わず、最終的には親の意向に従わせる、ということが起こります。

 

こうした環境で育った子どもは自分の意思や意見を尊重することができず、それらを持つことに恐怖を感じるようになります。

 

「親に逆らったら愛されないのでは・・・?」

 

という不安や心配が強くなり、自己主張ができなくなってしまうのです。

 

さらに、大人になっても決断が苦手になってしまい、「誰かに指示してほしい」「自分で決めるのが怖い」と感じることが少なくありません。

 

支配型の毒親は、子どもを思うあまり過干渉になり「こうしなさい」「ああしなさい」と命令的な口調になることが特徴です。

 

しかし、子どもが自分の人生を生きるためには親の期待ではなく、自分の意思で選択することがとても大切です。

 

親の価値観を押し付けられた経験がある場合、

 

「私はどうしたいのか?」

「私はどうすることが自分のためになるのか?」

 

など自分自身に問いかける、向き合うことが毒親の呪縛、心を解放する第一歩になります。

 

② 過干渉型:愛情の押し付けが子どもを苦しめる親

 

過干渉型の毒親は「あなたのことが心配だから」ということを言いながら、子どもの行動すべてに口を出してきます。

 

「学校で何をしたの?」

「誰と遊んだの?」

「テストはどうだったの?」

「それを選ぶんだったらこっちにしなさい」

「それはこうしたほうがいいよ」

「あなたは黙っていればいいの」

 

というふうに、常に意見やアドバイス的なこと、自分が納得する指示を送り、子どもが自分で考えたり決めたりする機会を奪ってしまいます。

 

一見、子どもを大切にしているように見えますが、過干渉が続くと子どもは、

 

「どうせ決められてしまうから自分で決めても意味がない・・・」

 

と感じるようになり、何をするにも親の承認を求めるようになってしまいます。

 

これらが続いた結果として、自己肯定感が低くなる、自分の判断に自信を持てなくなる、人の顔色を伺う、という性格になることは多いものです。

 

また、過干渉型の毒親は「子どもの幸せのために」と思い子どもに対し行動していることが多く、本人に悪気がないケースは多いものです。

 

ですが、子どもから見ると「自分の気持ちを尊重してもらえない」と常に感じ、親に対して無意識にストレスを溜めてしまいます。

 

親が過干渉気味、物事に対して口出しが多いと感じたら、

 

「私はこうしたい」

「自分で考えてみたい」

「私はこれを選ぶ」

 

と、はっきりと自分の意思や意見を伝えることが自立への第一歩となります。

 

③ 無関心型の毒親:子どもを放置する親

 

無関心型の毒親は、子どもにほとんど興味や関心を持たず、最低限の世話だけをするタイプです。

 

忙しさや様々なストレス、自分自身の問題を抱えていることが多く、それが原因となり子どもに注意を向ける余裕がない場合が見受けられます。

 

「ちゃんと食べているの?」

「学校ではどんなことをしたの?」

「今日は友達と遊んだんだね」

 

など、興味は感心がないので気にかけることがなく、子どもは孤独を感じやすくなります。

 

特に幼少期に親の無関心を経験してしまうと「自分は愛されていないのでは?」という強い不安を抱くこと多く、大人になってからも対人恐怖や視線恐怖など対人関係に影響を及ぼしやすくなります。

 

また、他人との距離感がわからなかったり、誰かに認められたいという気持ちから無理をして違うキャラを演じてしまうなど、真意とは別の行動をとってしまうこともあります。

 

無関心型の毒親は子どもが何をしていてもほとんど注意を払わないため、一見「自由に育った」と思われること、見られることがあります。

 

しかし、それはあくまでそう見えるだけであり、当事者である子どもは自分の存在意義を見失い、無力感を感じやすくなる傾向にあります。

 

こうした環境で育った場合、自分の心を守る手段は、

 

「私自身の価値や存在意義は親の態度では決まらない」

 

と、はっきりと意識し、自分を大切にする、自分自身を尊重していくことが大切になります。

 

④ 過保護型の毒親:子どもを過剰に守ることで生じる弊害

 

過保護型の毒親は、

 

「危ないからそれはダメ」

「失敗するとかわいそうだし嫌な思いをする」

「こっちの服のほうが暖かいからこっちにしなさい」

 

など、子どもをあらゆる困難から守ろうとします。

 

一見、とても愛情深い親に思えますが、過保護が続くと子どもは自分の頭で考えて行動する、意思決定の機会を奪われてしまい、大人として成長するチャンスを失ってしまいます。

 

たとえばですが、

 

・転んだときにすぐに手を差し伸べる

・学校の宿題を親が代わりにやってしまう

・友達とのトラブルをすべて親が解決する

・子どもに降りかかる火の粉はすべて消そうとする

 

というような、なんでもかんでも介入していく行動がよく見られます。

 

このような関わり方が続くと子どもは「自分でやらなくても誰かが助けてくれる」と思い込み、困難に直面したときに対処できなくなってしまい、頭が働かず硬直してしまいます。

 

過保護な親のもとで育った子どもは失敗を極端に恐れる傾向にあります。

 

なぜなら、小さなミスをする前に親が先回りして防いできてしまったため、失敗したときの対処法を学ぶ機会がなく、どうしたらいいか混乱してしまうからです。

 

成長してからも「うまくいかなかったらどうしよう・・・」と不安になり、新しいことに挑戦することを避けるようになってしまいます。

 

⑤ 否定型の毒親:子どもの自尊心を傷つける言葉や態度をとる親

 

否定型の毒親は、子どもの行動や考えを否定する言葉を日常的に使います。

 

「そんなこともできないの?」

「あなたにはどうせ無理でしょ」

「お前なんかまったく役に立たない」

 

などの言葉をくり返され心が傷つくと自尊心が損なわれ、子どもはどんどん自分に自信を持てなくなってしまいます。

 

このタイプの親は子どもを否定することで「できない部分を直してあげよう」と考えていることが多いものです。

 

ですが、これらの行為は実際には子どもの自己肯定感、自尊心をを著しく低下させる結果になります。

 

特に幼少期から否定的な言葉を浴びせられて育つってしまうと「自分はなんてダメな人間なんだ・・・・」という思い込みが強くなってしまい、大人になってからも自己評価が低いままとなることは多いものです。

 

否定的な言葉を浴びせられてきた場合は「親の言葉がすべてではない」と理解することがとても大切になります。

 

自分を否定、自尊心を下げる声に負けずに「私は大丈夫!」「できることはたくさんある」と意識する、鼓舞することで、少しずつ自信を取り戻すことができるでしょう。

 

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毒親になってしまう原因とは

 

毒親になってしまう背景にはさまざまな原因や要因があります。

 

毒親と呼ばれる多くの親は意図的に子どもを苦しめようとしているわけではなく、無意識のうちに「毒親的な言動」をしてしまっていることがほとんどです。

 

ではなぜ?親は毒親になってしまうのでしょうか?ここでは主な原因や要因について詳しく解説していきます。

 

① 親自身が愛されてこなかった背景

 

毒親になる原因の一つに「親自身が幼少期に十分な愛情を受けられなかった」という背景が多々あります。

 

子ども時代に厳しいしつけを受けたり、親から無関心に扱われたりした経験があると「自分も同じようにするのが当たり前」と無意識に思い込み、それに沿った行動をしてしまいます。

 

特に感情を抑え込むことを強要された人は、自分の子どもにも同じように感情を抑え込むことを厳しく説いてしまいがちです。

 

「私の時代はこうだった」

「甘やかすのはよくない」

 

という考を優先し、子どもにも厳格なルールを押し付けることがあります。

 

その結果、親自身が受けた苦しみやつらさを無意識のうちに次の世代へと引き継いでしまいます。

 

このようなケースではまず、

 

「自分も辛い苦しい経験、思いをしてきた」

 

と認めることがとても大切です。

 

そして「親からされたことをそのまま自分がくり返す必要はない」と意識する、自覚していくことで負の連鎖を断ち切る第一歩となります。

 

② 世間体や「理想の親像」に縛られてしまうプレッシャー

 

個人差はありますが、親になると周囲の目や社会の価値観を意識せずにはいられません。

 

「良い親でいなければ」

「しっかり子育てしなければ」

 

と思ってしまうあまり、子どもに厳しく接してしまうことがあります。

 

特に完璧主義の傾向がある人ほど、子どもにも高い基準を求めてしまいがちです。

 

たとえばですが、

 

「勉強ができないと将来困る」

「きちんと挨拶しないと恥ずかしい」

「常識が無いと皆に迷惑をかける」

 

というような考えが強すぎてしまうと、子どもに対して過度なプレッシャーをかけてしまいます。

 

また、周囲の親と自分を比べてしまい「もっと厳しくしないとダメなのでは?」と焦ることで、子どもに対する要求がさらに厳しくなることもあります。

 

大切なことは「親も完璧でなくていい」と自分に許可を与えることです。

 

子どもはという存在は親に対して厳しさよりも「安心して甘えられる存在」を求めています。

 

世間体や理想の親像にとらわれすぎず「子どもにとって何が本当に必要か」を考えることが、健全な親子関係につながります。

 

③ 過多なストレスや心の余裕のなさが子どもに向かうとき

 

現代の親は、仕事・家事・育児と多くの負担を抱えています。

 

そんな中で心の余裕がなくなってしまうとイライラが子どもに向かいやすくなってしまいます。

 

特に、仕事や人間関係などで過多なストレスを感じていると無意識のうちに子どもに対して厳しくなったり、感情的に怒ってしまったりすることは多いものです。

 

また、夫婦関係や経済的な不安がある場合も親の精神状態に影響を与えます。

 

「こんなに大変なのに!なんで子どもはわかってくれないの!」

 

と感じたり思ってしまうとつい冷たく接してしまうこともあるでしょう。

 

しかし、子どもは親のストレスのはけ口ではありませんし、顔色を伺う存在でもありません。

 

ストレスが原因で子どもに厳しく接してしまう場合は「今、自分は疲れているのかもしれない」と気づくことが大切です。

 

マインドフルネスやリラックスする時間をあえて持つことで、心の余裕を取り戻し、子どもに穏やかに接することができるようになるでしょう。

 

④ 無意識に「親にされたこと」を繰り返してしまう心理

 

人は自分が育った環境を無意識のうちに再現してしまうことがあります。

 

特に幼少期の経験は深く心に刻みこまれるため「親にされてきたこと」が子育てに影響を与えることが多いものです。

 

たとえばですが、自分の親が厳しかった場合「自分も厳しくしないと子どもがダメになってしまう!」と思い込んでしまうことは良くあります。

 

また、親から「こうしなさい」「それをしなさい」と言われ続けて育った人は、子どもにも同じように指示を出してしまいがちです。

 

「自分が耐えてきたのだから、子どもも耐えられるはず」

 

と考えてしまい、自分がされた同じことをくり返してしまいます。

 

しかし、それは必ずしも正しいわけではなく、自分が苦しんだ経験を子どもに押し付けることになってしまい、子どもはただプレッシャーを感じ続けてしまう状態になります。

 

このような場合は「親のやり方がすべて正しいとは限らない」と気づくことが大切です。

 

「親から自分はどう接してほしかったか?」と振り返る、過去を見つめ直すことで新しい関わかたを選択できるようになるでしょう。

 

気づきを得て自分を振り返りながら、ぜひ子どもとの関係を見直すきっかけにしてみて欲しいと思います。

 

毒親になってしまう原因は、親自身の育った環境や社会的なプレッシャー、ストレスの影響など、さまざまな要因が関係していると言えるでしょう。

 

しかし、これらの原因を理解し、意識することで続いてしまう悪循環を断ち切ることは可能です。

 

「自分も毒親かもしれない・・・・」と気づいたときは、自分を責めてしまうのではなく、少しずつ自分の行動を変えていくことが大切です。

 

親も親という役割の前に一人の人間ですので、完璧を求めすぎず、自分の心を整えながら、子どもと向き合っていくことが最良の方法となるでしょう。

 

毒親の影響で心が苦しくなったときの対処法

 

毒親との関係に悩んでいると心が疲弊し苦しくなり、ストレスが溜まってしまうことは多々あります。

 

毒親からの言葉や態度に傷ついたり、過去の出来事がフラッシュバックしたりすることもあるでしょう。

 

そんなときはいま感じている感情を整理し、自分を守る方法を知ることがとても大切です。

 

ここでは、心が苦しくなったとき、つらくなったときに試してほしい対処法をご紹介します。

 

① 「自分の気持ちを認める」ことで心を軽くする

 

まず大切なのは「自分が苦しいと感じている」というのを認めることです。

 

毒親との関係に悩む人の中には

 

「親に常に感謝しなければならない」

「自分が悪いのだから我慢すればいい」

「親からの言葉はきっと将来役に立つ」

 

と思い込んでいる人も少なくありません。

 

しかし、苦しくてつらいと感じている自分の感情を無視し続けると、心の負担がどんどん大きくなってしまいます。

 

たとえばですが「親にひどいことを言われて悲しい」「もっと優しくしてほしかった」と思うのは、決してわがままではありません。

 

過去の傷が痛む、苦しくなってしまうときは「自分は傷ついていたんだな」「苦しいのは当然のことなんだ」と、自分の気持ちに寄り添うことが大切です。

 

日記を書いてみる、信頼できる友人や知人に話したりする、専門家の心理カウンセラーに相談するのも効果的です。

 

感じている感情を言葉にすることで自分の思考と気持ちが整理され、少しずつ心を軽くすることができるでしょう。

 

② 親の言葉を「絶対的なもの」と思わない

 

毒親から否定的な言葉を受け続けると「自分はなんてダメな人間なんだ・・・・」と思い込んでしまうことがあります。

 

しかし、親の言葉がすべて正しいわけではまったくありません。

 

特に親自身が過去に厳しく育てられた場合、その価値観を押し付けていることは多いものです。

 

たとえばですが、「お前は何をやってもダメだ」と言われたとしても、それはあくまで親の主観にすぎません。

 

事実という視点ではなく親自身の考えや感情が反映された言葉と言っていいでしょう。

 

親から発せられた言葉を「絶対的なもの」として受け入れるのではなく「これは本当に正しいのだろうか?」と疑問を持つことがとても大切です。

 

親が言ったこと=事実

 

ではなく「これは親の考えている意見のひとつにすぎない」と考えられるようになるとすーっと気持ちが楽になります。

 

少しずつで大丈夫ですので「自分の価値を親の言葉で決めない」練習をしてみると良いでしょう。

 

③ 自分を責めないことを意識する

 

毒親との関係に苦しんでいる人の多くは

 

「私がもっといい子だったら、親は優しくなったのでは・・・?」

 

と自分を責めてしまいがちです。ですが、親の言葉や言動は子どもの性格や行動とは一切関係なく、親自身の問題によることがほとんどと言えるでしょう。

 

たとえば、親が子どもに対して厳しすぎるのは親自身が「自分もそうやって親から厳しく育てられたから」という理由かもしれません。

 

親が否定的な言葉を子どもに対して使うのは、親自身の心に余裕がないからかもしれません。

 

そう考えていくと「私が悪いからではなく、親自身の問題だったのかもしれない」と少し冷静に捉えられるようになります。

 

「私は一切悪くはない」

「私が苦しんでいるのは当然のことなんだ」

「私が感じているつらい気持ちは当たり前のことだ」

 

と、少しずつでも自分を認めることができるようになると心の負担が軽くなっていくでしょう。

 

自分を責めてしまうのではなく「私は私のままでいい」と思えるようになることが心をケアしていくうえでとても大切になります。

 

④ 毒親と距離を取ることで心を守る

 

毒親との関係がつらいときは無理に関わり続けるのではなく、適度な距離を取ることも重要な一つの方法です。

 

距離を取ることで親の影響を受けにくくなり、自分の気持ちを落ち着かせる、整理することができます。

 

たとえばですが、

 

「電話やLINEの返信をすぐにはしない」

「必要以上に会わないようにする」

「親の言葉に対して深く考えすぎない」

 

など、小さな工夫をするだけでも気持ちが解放され楽になります。

 

物理的な距離を取ることが難しい場合は心の中で「この言葉は聞き流そう」「この態度は無視しよう」と上手に意識するだけでも、ストレスを軽減していくことにつながります。

 

親との関係を断つことに罪悪感を抱く人もいますが、自分の心を守ることは決して悪いことではなくむしろ必要なことです。

 

「私は自分の幸せを優先していいんだ」

「自分の気持ちを一番に考えていい」

 

と割り切り、少しずつ距離の取り方を工夫してみるのが良いでしょう。

また、自分を責めるてしまうのではなく、

 

「私は決して悪くない」

「親の言葉がすべてではない」

 

と意識していくことで、少しずつ心の負荷が取れ気持ちが軽くなっていきます。

 

必要に応じて適度な距離を取りながら、自分自身を大切にする方法をぜひ見つけていきましょう。

 

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毒親との関係を改善するにはどうすればいいのか?

 

毒親との関係に悩んでいる人は「このままずっと苦しみ続けるのか・・・・」と不安になることがあると思います。

 

ですが、本人がそれを望めばですが、関係性を少しずつ改善することは可能です。

 

改善と言っても無理に親を変えようとすることではありません。

 

自分の心を守りながら、できる範囲で距離感や接し方を調整する、ということですね。

 

ここからは、毒親との関係を改善するための具体的な方法をご紹介します。

 

① 親との「適切な距離」を見つける

 

毒親との関係を改善していくためにはまず、

 

「どのくらいの距離が自分にとって心地よいのか(問題ないのか)」

 

を考えてみることが大切です。

 

親子関係というと世間的には「できるだけ仲良くしなければならない」と思いがちですが、それが必ずしも正しい、正解とは限りません。

 

たとえばですが、親と頻繁に会うとストレスが溜まるのであれば、連絡の回数を極力減らしてみるのも一つの方法です。

 

電話が苦痛になっているのであれば、声のやり取りが必要のないLINEやメールのみにするという考えもあります。

 

また、どうしても電話が必要な場合、親の否定的な言葉で嫌な気分になってしまうのであれば話題を限定的するのも有効です。

 

「必要事項のみ話す」

「雑談も天気やニュースの話だけにする」

「深くなる話は一切しない」

 

といった工夫をする、項目を考えてみることで精神的な負担を減らすことができます。

 

大切なのはこの時点で「無理に関係を良くしようとしないこと」です。

 

親と自分はどのくらいの距離が適切なのか?うまく計りながら、自分の心を守る方法を見つけていきましょう。

 

② 期待しすぎないことで心を楽にする

 

「いつか親が変わってくれるかもしれない」

「年をとると丸くなっていくのでは?」

 

など、時間の経過とともに親が変わることを期待する、望むことがあると思います。

 

ですが、大きく期待してしまうと、親の態度が変わらない現実に傷ついてしまうことは少なくありません。

 

特に、何度も話し合いをしても親が聞く耳を持たない、理解してくれない場合、

 

「もう少し努力すれば、もっと言いかたを工夫すれば親は変わるかも・・・・」

 

とつい考えてしまいがちです。

 

しかし、長年の価値観を持つ親を変えることは簡単ではなく、とても大変な行為であり、心的疲労も半端ではありません。

 

むしろ「親は変わらないかもしれない」と考えを変えそれを受け入れることで、気持ちが楽になることもあります。

 

たとえばですが、

 

「親に認めてもらおうと頑張るのをやめる」

「親の言葉を深刻に受け止めすぎない」

「親の期待には今後一切応えない」

 

というように反対の考えかたを意識することで心の重荷が外れ、ふっと心が軽くなるかもしれません。

 

親に変わってもらおうとすると大変な労力と精神力を要しますがそうではなく、自分自身の考え方、視点、観点を少しずつ変えていく。

 

そうすることで関係が改善しやすくなり、逆に親がそれをきっかけに変化する可能性があります。

 

③ 自分の気持ちを伝える練習をする

 

毒親との関係では親の意見を優先しすぎてしまい、自分の気持ちを押し殺してしまうことはよくあります。

 

しかし、毒親との関係を改善するためには「自分はどう感じているのか」を怖気づくことなくしっかり伝えることが大切です。

 

たとえば「その言葉は私にとってつらいし苦しい」と伝えることで、親が無意識に傷つける言動をしていることに気づく可能性があります。

 

もちろんすぐには理解してもらえず、何を言っているかわからないなど一蹴されることもあるでしょう。

 

ですが、諦めずに少しずつ「自分の気持ちを表現する」ことを習慣にすることで、毒親とのコミュニケーションバランスが変わることがあります。

 

コミュニケーションバランスを変えるポイントは、

 

「責めるような言い方をしないこと」

 

です。「お母さん、その言い方はひどい!」と責めるのではなく、「私はそう言われると悲しくなってしまう」と伝えることで、親も理解しやすく受け入れやすくなります。

 

最初はなかなか進みづらいかもしれませんが、今後の可能性を踏まえ自分の気持ちを伝える練習をしていきましょう。

 

毒親との関係を断つにはどうすればいいか?

 

上記の毒親との関係性改善とは打って変わり、ここでは関係そのものを絶つにはどうすればいいのか?見ていきましょう。

 

毒親との関係があまりにもつらく苦しい場合、最終手段として「関係を断つ」という選択肢を考えることもできます。

 

もちろん親子関係を完全に絶つことには抵抗を感じる人もいるでしょう。

 

ですが、今後の改善や良好な未来が見えない場合、自分の心の健康を守るため、時には思い切った決断も必要となります。

 

毒親との関係を断つにはどういうことがポイントになるか?ご紹介していきます。

 

① 関係を絶つことへの罪悪感を手放すことが大切

 

世間では常識的に「親を見捨てるのはよくないこと」として考えられています。

 

関係を断つことに罪悪感を抱く人も多いでしょう。しかし、たとえ親子関係であっても自分を傷つける相手と無理に付き合う必要は無いと断言できます。

 

親との関係が原因で精神的に追い詰められている場合は、自分の人生を守ることを最優先に考えることが先決です。

 

自分の状況をしっかり見据え、「親だから大切にしなければならない」という思い込みを手放し「私は自分を大切にしていい」と考えることが最重要であり、新たな人生の第一歩になります。

 

② 段階的に距離を取る方法を考える

 

親との関係を完全に断つのはかなり難しい場合が多く、おいそれとはなかなか進まないものです。

 

焦らずに少しずつ距離を取る方法、うまいやり方を考えるようにしましょう。

 

これはひとつの方法であり作戦ですが、たとえば最初は連絡の頻度を減らしていき(接触頻度を減らす)、その後は物理的な距離を置く(会わない、顔を合わせない)などのステップを踏む、というのも良いかと思います。

 

また、基本的に毒親は子どもの足元を見てくる、良心に訴えかけるのが上手いので、ついつい丸め込まれてしまうことが多々あります。

 

「何かあればすぐに対応しなければならない」

「困っているときは手を差し伸べなければ」

 

という考えを一旦手放し、少しずつ親の影響を減らしていくことがとても重要です。

 

③ 「住民票閲覧制限」を武器に親と離れて暮らす

 

現時点で親と離れて暮らしている、もしくは交渉してこれから親と離れて暮らすことができる、という人は参考になるかもしれません。

 

過干渉型の毒親の場合、離れて暮らし物理的に距離をとっていたとしても、親の権限を利用し住民票を取得して現住所を突き止め、改めて過干渉をしてくる可能性があります。

 

新しい生活、改めて毒親の過干渉を絶つには役所にて「住民票閲覧制限」というものをかけることができます。

 

これは、たとえ親といえど子どもの住民票をおいそれと取得できないというものです。

 

住所を知られなければ物理的な接触は不可能ですし、安心して距離をおくという手段が可能になります。

 

ですが、この「住民票閲覧制限」を役所に申請する場合には、毒親からどのようなことをされたか?どんなことを要求されたか?被害的なことは?など、証拠の提出が必要となります。

 

証拠として有効になるのが、精神的ダメージによる心理カウンセリングを受けた実績や、警察への相談実績となります。

 

また、提出書面にも親からどのようなことをされたか?記載部分もありますので、そこを事細かに記載して充実させることも大切な要素となります。

 

④ 裁判所の「接近禁止命令」を使う

 

「接近禁止命令」という裁判所の手続きがあり、これは毒親から受ける被害や損害を避けなければ心身の危険がある場合、所定の手続きを踏むことで一定期間、親が子どもに接近することを禁じる、という裁判所からの命令です。

 

この裁判所命令を使うには「親にどのようなことをされたか?」「どんな被害を受けたか?」など、それを証明できる証拠を提出する必要があります。

 

これを有効活用するためにも心理カウンセリングを受けた実績、警察へ相談した実績などを作る、また、毒親から受けた言葉や態度など細かく記載した手続き書面を作成することが必要です。

 

親子の縁を切る法的手段はないのですが、毒親の言動などによって子どもが著しい損害や緊急の危険を避ける必要性がある場合、裁判所の「接近禁止命令」を求めることができます。

 

正しくは、まず裁判所に「保護命令」を申し立てる必要があります。

 

その「保護命令」が可決された後に伴う仮処分として「接近禁止仮処分命令」というのがあります。

 

この「接近禁止仮処分命令」が無事に裁判所から出れば、一定の期間ではありますが、親が子どもへつきまとう、近づくなどの行為が禁止されるようになります。

 

この「接近禁止仮処分命令」をスムーズに受理されるには、こちらも損害や危険が差し迫っていることを証明できる証拠を提出する必要があります。

 

こちらも③と同じになりますが、心理カウンセリングを受けた実績、警察へ相談した実績を作る、毒親の言葉や態度を細かく記載した書面を作成することなどがとても重要となります。

 

毒親との関係性の悩みはプロの心理カウンセラーへ相談を

 

毒親との関係性で悩んでいる人は多いものですが、すでに毒親からの言動により罪悪感がある感じがしたり、毒親との共依存に陥っている場合、正常な考えができなくなっている可能性は否定できません。

 

そのため、毒親との関係で悩んだら一人であれこれ考えると良い答えは導きだせず、余計混乱することは多々あります。

 

そのような場合は自分でなんとかしようとせず、毒親や親子関係に詳しい心理カウンセラーなど第三者に相談することをおすすめします。

 

プロの心理カウンセラーであればメンタル的な相談はもちろん、様々なネットワークを有していることがありますので、場合によっては法律の専門家、警察関係などにも紹介することができるでしょう。

 

また、心理カウンセラーは寄り添いのプロでもありますので、つらさ、苦しさ、不安感、心配、孤独感などで押しつぶされそうなとき、温かく寄り添い親身になって解決策を提示してくれます。

 

つらいとき、苦しいとき、心が傷ついたとき、その他相談したいことなど、まず初めの第一歩は信頼できる心理カウンセラーへ相談するのが最良の選択と言えます。

 

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毒親についてのQ&A

 

Q1.「毒親」とよく言われますが、具体的にはどのような親がそれに該当しますか?

A1.「毒親」という概念ですが、自分の子どもに対し精神的はもちろん身体的に虐待、DVなど有のある影響を及ぼす親のことを指しています。また、過干渉や過度な支配、無関心、なども特徴的な行動と言われています。

身体的もしくは精神的な暴力、子どもの自尊心を傷つける、子どもとしての自由を奪うなど、それをくり返された子供は心に大きな傷が残り、成人した後もトラウマやフラッシュバックなど苦しい影響を受けやすいと言われています。

 

Q2. いわゆる「毒親」に育てられた子どもは、将来どんな影響があるものですか?

A2.過剰な罪悪感を感じたり人間関係への苦手意識が強い、また、自尊心の低下や過度な完璧主義、依存してしまう傾向、などの影響が考えられます。心の傷により様々なストレスを抱えやすくなる、ということも考えられます。

 

Q3. 親が毒親だった場合、自分を守るにはどうすればいいでしょうか?

A3.まず「親だからしょうがいない」と諦め、苦しいのに無理に関わる必要はありません。自分の精神、身体が一番大切ですので、自分を優先させることが重要です。

そして自分の気持ちを整理することも必要となるので、プロの心理カウンセラーに相談しカウンセリングを受けてみる、信頼できる人に相談して話を聞いてもらう、など、心のつっかえを取り除くのが効果的です。

物理的、心理的に毒親と距離を取ることも大切ですので、その辺りも視野にいれながら相談してみるのが良いでしょう。

 

Q4. どうしても親(毒親)と距離を取ることに対して罪の意識が湧いてしまいます。

A4.罪の意識、いわゆる罪悪感を感じるのは自然なことです。ですが、自身のストレス負荷を無視してしまうのは得策ではなく、どこかのタイミングで精神的に崩れてしまう可能性があります。

子どもとして親の機嫌を損ねないよう一緒にいることは義務ではありませんし、まずは自分の気持ち優先であり、その一歩が親との距離になります。自身の将来を見据えて、勇気を出すことが重要です。

 

Q5. 毒親と感じることがあるのですが、毒親かどうかを判断する方法はなにかありますか?

A5.親と接しているとき、以下にあげる特徴があれば十分毒親の可能性があります。一旦確認していただくと良いでしょう。

 

・プライベートを無視して干渉してくることが多かった
・きつい言葉や態度など精神的な暴力を感じていた
・ビクビクしながら常に親の顔色をうかがっていた
・物事をうまくやっても決して認めてもらえなかった
・自分の意見があっても最後は親の意見に決定権があった。
・過去に受けた親の言葉や態度など、フラッシュバックしてしまい今でも苦しくなる

 

これらに1つでも当てはまる場合は、毒親の可能性が考えられます。

 

Q6. 親が毒親なのですが、育てられた環境で傷ついた心を回復させることは可能でしょうか?

A6.それはもちろん可能です。回復までには個人差がありますので一概には言えませんが、心理カウンセリングを受け自分の心を癒していく、または失った自己肯定感を高めるプログラムなどおこないながら、回復を目指すのが一般的と言えるでしょう。

 

Q7. 毒親に育てられたことで、自分の子育てに影響が出るのではと心配してしまいます。

A7.自分が毒親に育てられてこと、それにより子育てに影響があるか?心配される声は多いものです。

影響が無いとは言い切れませんが、早めに専門家やプロの心理カウンセラーに相談しアドバイスをもらう、過去の傷を癒していくことで毒親の影響を受けず、あなたなりの子育てができる可能性は十分あります。

また、この世に完璧な親は存在しませんので、「完璧でなくても良い」と自分に伝え、気持ちに余裕と遊びを持ちながら子育てに取り組むのが良いですね。マインドフルネスなどを取り入れながら自分と向き合うのも良い方法かもしれません。

 

Q8. 親と完全に縁を切りたいのですが、どうすればそれが可能でしょうか?

A8.いまの日本では親と完全に縁を切る法律はありませんので、完全に縁を切るのは難しいと言えるでしょう。

ですが、役所の「住民票閲覧制限」を使って自分の居場所を知られないように距離を取る、また裁判所の「接近禁止命令」を使い、寄り付かないようにすることは可能です。

また、弁護士も活用してアドバイスを求めるのも良いかもしれません。

 

Q9. 将来的には親が年老いていきますが、面倒を見たくない気持ちが強くあります。良い方法はありますか?

A9.親の介護はついて回るものですので、遅かれ早かれいつか考える必要がありますね。

まずは自分の負担を軽くするにはどうすればいいか?考えていく必要があります。様々な介護サービスを調べる、役所の窓口に相談する、他の家族がいれば今後どうしていくか?協力をあおるなど、色々な方法を探してみましょう。

また、将来的に年老いていく親を見ると少なからず気持ちが動き「子どもは親を助ける必要がある」と強く思ってしまうことがあります。

過去に受けた傷がそのままだと精神的な負担が増えますので、極力気持ちを冷静にし、色々な視点で考えるのが良いでしょう。

 

まとめ

 

毒親との関係性を改善したい気持ちがある場合、無理に親を変えようとしてもうまくいく可能性は低いと言えます。

 

親をなんとか変えるのではなく、親との距離の取りかたや接しかたなど、自分なりに工夫していくことがとても大切です。

 

また、できるだけ関係性を薄くし長く距離と取りたいときは、役所や裁判所などでも様々な手続きができますので活用するのが良いでしょう。

 

一般常識で言われる「親だから大切にしないと」「親に感謝しなさい」という言葉は毒親に育てられた人の心を苦しめてしまい、つらい気持ちにさせることが多々あります。

 

親に対しての感謝など大切なことではありますが、一旦その常識は脇に置いておき、自分を守るためだけの選択をしていくことがとても大切です。自分の幸せだけを第一に考えること、その視点を持つことで毒親の見かたも変わってくるかもしれません。

 

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