こんにちは。
家族問題解決専門カウンセラーの鈴木悦子です。
すべてのご家庭で起こるわけではありませんが、“夫からのDV被害”というのは比較的多く存在しています。
夫からのDVを受け、
「私が悪いから・・・また夫を怒らせてしまったのかも」
DVを受けてしまう人はそんなふうに考えがちであり、自分を責めてしまう日々を送ることも少なくありません。
DV被害というのはセンシティブな問題ですが、そのようなDV被害に対してしっかりとした具体的対策を立てる、対処を知ることで解決を図ることは可能なんですね。
今回は、夫のDVの本質や心理的背景、そして今すぐできる対処法など心理カウンセラーの視点からわかりやすくお伝えしていきます。
それは本当に「家庭内の問題」?DVが家族問題として見えにくい理由とは?
「夫婦間のことだから外には言えない・・・」
「暴力とはいっても、優しいところもあるから・・・」
など、DV被害を受けていると、そのように思ってしまうことがあるかもしれません。
実は、DVというのは殴る・蹴るといった身体的な暴力だけではなく、怒鳴りつける、無視する、経済的に締めつける・・・このような精神的・心理的な暴力も立派なDVに含まれまるんですね。
ですが、これら身体以外のDVは外から見えにくく、証明しづらい、という特徴があるため、周囲に相談してもなかなか理解されにくいというのが現状です。
さらには、
「家族のことだから我慢すべき」
「母親なんだから家庭を守らなくちゃ」
といった社会的なプレッシャー、親としての責任感が被害をより深刻にしてしまいます。
DVが起こってしまう、それに応じた苦しさには、きちんとした理由があります。
「DVをされる私が悪いのかも・・・・」と一人で抱え込まないことがとても大切です。
DVを受けることによる精神的な疲労感
DVの被害を受け続けると、どんどんと心がすり減っていきます。
そして次第には、
「私がもっと我慢しなければ」
「私さえ変わればいい」
など、自分を責める思考に陥ってしまうことがあるんですね。
「ガスライティング」
と呼ばれる、心理的に相手を操るものがあります。
この「ガスライティング」という心理的な操作は、
「そんなことで怒られるお前が悪い!」
「誰もお前のことなんて信じないよ!」
というような、上からの目線であり恫喝的な言葉をDV被害者に埋め込んでいくもので、このような言葉がくり返されると正常な判断が欠如してしまい、次第に自尊心は削られていき、現実を見失ってしまうんですね。
「ガスライティング」もそうですが、起こりえるDVには“構造”が隠されています。
まずはその構造に気づくこと、そして「DV被害者である自分は決して悪くない」と心の中で確かめていくこと、心を守っていくことが重要です。
夫のDVへの対処方法は?安全確保から心の回復までのステップ
くり返しおこなわれるDVへの対処には段階があります。
まず最優先すべきは「身の安全の確保」と言えるでしょう。
以下のような状況(DV)に心当たりがある場合は、できるだけ早く信頼できる支援機関に相談することが大切です。
・殴る、蹴るなどの身体的暴力がある
・怒鳴り声や物を壊すなどの威圧的行動が頻繁にある
・経済的自由(お金の自由)を奪われている
・なにかしら子どもへの影響が懸念される
自治体のDV相談窓口や、24時間対応の女性専用相談ホットラインなどが利用できます。
また、緊急の場合には避難シェルターに入る選択肢というのもあるんですね。
以下にDVの相談窓口、支援機関を載せますので参考にしてください。
■ 急を要する、緊急時の連絡先
・警察(110):身の危険を感じたら、ためらわず通報を。
・DV相談+(プラス)-内閣府
電話:0120-279-889(24時間対応・年中無休・無料)
メール・チャット相談も対応(https://soudanplus.jp)
■ 地域の女性相談センター
・各都道府県にある*配偶者暴力相談支援センターでは、シェルターや弁護士紹介などの支援も受けられます。
詳細は「〇〇県 配偶者暴力相談支援センター」で検索を。
■ 民間の支援団体
・NPO法人 レジリエンス
心の回復のためのサポート講座・回復のための情報を多数掲載
https://resilience.jp
・全国女性シェルターネット**
全国の民間避難所(シェルター)ネットワークの一覧
http://www.shelternet.jp/
上記のような窓口は匿名でも受け付けしてくれますので、まずは安心して連絡してみるのが良いでしょう。
これらの窓口を有効活用すること、そのうえで、心の回復には専門家のサポート受けることも必要です。
心理カウンセリングを受けたり、同じような経験をした人とつながったりすることで「私は一人じゃない」と感じられることも大きな支えになりますので。
【体験談】私は一人じゃなかった、と気づけた日
最後に、実際に夫からのDVを受け、そこから回復への道を歩んでいる方の体験談をご紹介します(仮名・ご本人の了承を得て掲載しています)
《体験談:由美さん(仮名)/40代/2児の母》
夫とは職場内恋愛からの結婚でした。
仕事ができ、優しく頼りがいがあり、話題も豊富で面白い人だな、というのが第一印象です。
その後、仕事でチームを組むことになり、そこから急速に関係が近づいていきました。
そこからは早く、一気に結婚まで行き、子どもを授かることができました。
ですが、その辺りから夫の異変に気がつきはじめたんです。
最初は些細なこと・・・でした。
育児に専念するため会社を退職し、ほぼワンオペ育児で毎日大変な思いをしていましたが、子どもの可愛さに癒されることも嬉しく、毎日がんばっていました。
ある日の夕食のとき、夫に醤油さしを取ってと言われ「子どもを抱えているので、ごめん、できない」と伝えたところ、みるみる目つきが変わり「そんなのすぐ取れるだろうが!」と大きな声を出され。
子どもは驚いて大泣きし、私も急に怒鳴られたので何が起きたかわからず、なぜこんな些細なことで夫が怒鳴ったのか、いまだに不明です。あんな目つきを見たのも初めてでした。
そこからは毎日のようになぜか怒鳴られる日が続き、夫の怖い態度にビクビクしていました。
投げられて壊れてしまった食器、思い切り殴り空いた壁の穴、いきなりそんな状況になってしまい、寝室でひとり泣いた夜。
それでも「子どもがいるから」「これはきっと私が悪いのかも・・・」と思って、ずっと耐えていたんです。
そんなある日、たまたま見つけたDV相談窓口に、勇気を出して電話をしました。最初はとても躊躇しましたが、もう耐えられないかも・・・と心が悲鳴をあげていたんです。
女性の相談員さんから「あなたは悪くないですよ」って、最初のその一言だけで、涙が止まらなくなってしまいました。
すぐに避難先を紹介してもらい、勇気を出して子どもと一緒に新しい生活を始めることにしたんです。
今でも夫の態度がフラッシュバックし怖くなるけど、
「私はもう一人じゃない」
と思えるようになったことが、何よりの支えです。
その後は心理カウンセラーの先生を紹介され、いろいろとお話するうちに決心がつき、離婚することに至りました。
フラッシュバックやトラウマも軽減され、いまではまた少しずつ笑えるようになってきたんです。
由美さんのように「たった一本の電話」から、人生が少しずつ変わり始める、好転していくことがあります。
たとえいまつらい思いをしていても、由美さんのように、きっとその一歩を踏み出す力はあるはずです。
おわりに
くり返しになりますが、DV被害者が感じている不安、恐怖、迷いにはちゃんとした意味、理由があるんですね。
そして、その心からの叫びは決して無視していいものではありません。
DVの解決にはいろいろな形がありますが、まずは自分を信じ、匿名で良いので声をあげることから始めていきましょう。
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