こんにちは。
家族問題解決専門カウンセラーの鈴木悦子です。
“育ててくれた親には感謝すべき”
というのはとても大切なことであり、大事な教えだと思います。
お腹を痛めながらも産んでくれ、根気よく育ててくれたお母さん。
毎日仕事にでかけ、ストレスを溜めながらも大事なお金を稼いでくれたお父さん。
特殊な家庭事情を除いては、両親が様々なことをしてくれながら育ててくれたのは事実ですし、教育を受けられ社会人としていま生活できているのも、親のおかげと言って良いでしょう。
ですが、育ててくれた事実とは別に、小さな頃に親から受けたしつけや教育が心の傷となり、どうしても感謝ができないという声を聞くことがあります。
時に周りから「親には感謝しなさい」という声を聞き続け、でも目に見えない傷によって感謝できない自分を責めてしまう、ということも起こってしまうんですね。
実はこの「感謝」というもの、感謝への取り組みかたを間違えると強いストレスに見舞われたり心の傷が悪化したりますます自責になることがあり、気を付けないといけません。
「親への感謝」でなぜ苦しくなってしまうのか?正しい感謝への取り組みかたとはいったいどういうものなのでしょうか。
親には感謝できる部分と感謝できない部分がある
「親への感謝」というのはとても大切な気持ちであり、育ててくれた恩を忘れずにいることは人として重要なことです。
ですが、実は親への感謝というのは「感謝できる部分」と「感謝できない部分」があります。
それらを一緒にしてしまうことで苦しくなってしまったり嫌な気持ちになってしまうんですね。
感謝できる部分というのは育ててくれたこと、食べさせてくれたこと、学校に行かせてくれたこと、色々教えてくれたこと、人との接しかたを伝えてくれたこと、勉強を見てくれたこと、など、生きていくうえでプラスとなる部分です。
親からの素直な愛情、大切に感じてくれている気持ちなど、良い子に育つようにという親からの願いも含まれているでしょう。
一方、感謝できない部分というのはしつけの時に体罰があった、胸が痛むようなことを言われた、虐待を受けた、文句ばかり言われた、欲しいものを買ってくれなかった、など、心に傷を負ってしまうような部分です。
親というのは役割であり人格ではないので、子どもに対して人間としての我が出てしまったり、ストレスの捌け口にしたり、言う事を聞かせることに対して優越感を抱くこともあります。
親という存在は完全でもなければ完璧でもないので、主に人間としての弱さが表れている形となりますね。
仕方のないことかもしれませんが、周りというのは親子関係の一部分しか見えていないことがほとんどですので、
「親には感謝しないといけませんよ」
「両親へ感謝の手紙を書きましょう」
「感謝するのは当然であり恨みや怒りなんてもってのほか」
親戚や学校の先生など、見えている部分だけで判断し、このように心無い言葉を投げかけてくることもあります。
このようなとき、どのように対応したら良いのでしょうか。
「感謝できないものはできない」という信念を持つ
親というのは子どもにとってとても特殊であり特別な存在です。
育ててくれた大きな恩とは別に、友人や知人には決して抱かないようなドロっとした恨みや怒り、憎しみを感じることがあり、その感情は凄まじいものでもあります。
親からのちょっとしたひと言でカチンときたり、口ぐせのように言われることでゲンナリしたり、態度に落ち込んだり。
育ててくれた恩も忘れてしまうほど、嫌な感覚に包まれた経験は多くの人があるのではないでしょうか。
そのような嫌な場面を見せられたり怒りや恨みが湧く瞬間があると、とても親のすべてに対して感謝などできません。
先ほど述べましたが、親には「感謝できる部分」と「感謝できない部分」があります。
感謝できる部分は良いとして、自分の精神や心を安定させるため、
感謝できないものはできない
という信念を持つことが大切です。
親への怒りや恨み、憎しみなどを隠したまま感謝するのは精神的にも肉体的にもバランスが崩れやすくなり、場合によってはうつ傾向に陥ってしまう場合があるんですね。
そうならないためにも、自分の身を守るためにも、「感謝できないものはできない」という信念を持つ、周囲の声に抗う心持ちが重要です。
終わりに
「親に感謝できない自分はダメな人間だ」
というようなことで悩む人も多く、それぞれの親子事情がありますので、一概にダメだということはありません。
まずは親に対して感謝できる部分、感謝できない部分を切り分けて考え、感謝できる部分はしっかりと感謝する。
感謝できない部分は感謝しないという信念を持ち、それをどこかで手放していくことが大切です。
「親への感謝」という言葉で苦しくなるのであれば、まずは切り分けて考えることから始めてみましょう。
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